華麗なる偽装結婚

――「次の方。
五十八番の、稲田 阿美子さん。
どうぞ」

その時、私の名前が呼ばれた。

「はい」

眼鏡のフレームをくっと上げて立ち上がる。

…達郎には悪いけれど、辞退するわ。
ここにはきっと、私のやりたい事なんかない。

香水と化粧の匂いに噎せてしまいそうな喉を抑えて隣室へと向かった。





< 12 / 252 >

この作品をシェア

pagetop