華麗なる偽装結婚
「……あんまりじゃない。
こんなに優しいイケメン旦那をあっさり捨てようとするなんて」
「………!あの…、何で」
社長は冗談めかして話しているけれど、その瞳は笑ってはいない。
「……それで?
君は何処へ行こうとしてるの?
俺にこんな紙切れで納得しろと?」
ピラッと私の前に離婚届をつき出す。
「あの、今すぐでなくてもいいんです。
問題が解決してからで。
社長のご都合で処理して下さい」
「都合?
都合は悪いよ。君がいなくなると」
「ええ。
公の場では不便をおかけするかも知れませんが……。
私は病気にでもかかったと…」
「病気になりそうなのは俺の方だよ。
君は何か勘違いをしている」
彼の声色に段々と怒りが混ざってくる。