華麗なる偽装結婚
――コンコン。
その時、鳴り響いたノックの音に、慌てて写真を引き出しにしまう。
「失礼致します。
山木地所の尾上社長がお見えになりました」
彼女が戸口で俯き加減のまま言う。
「ねえ、阿美子ちゃん、同席してくれる?
まだ資料が頭に入らないんだよね」
俺が言うと、彼女は呆れたような顔つきで俺を見た。
「社長。
時間は十分にあったはずですが」
……また、軽蔑してるな。
本当は資料なんて確認しなくても計画に変更がなければ全部覚えている。
「だって、いきなり雪乃ちゃんが乗り込んで来たり、阿美子ちゃんと……
キスしちゃったり?
資料なんて頭に入らなかったんだよ。
それにさ、…阿美子ちゃんに側にいてほしいんだよね…」
………次はどんな反応をするだろう。
俺はにこりと彼女に笑いかけて言った。