華麗なる偽装結婚
「社長!!時間がありません!!
このままエレベーターに乗りますよ!
恵子ちゃん、留守をお願いね!」
俺が振り返って社長室に戻ろうとすると、阿美子ちゃんがそのまままた俺の身体をエレベーターにクルッと向けた。
「え」
「もう!!11時半には車に乗っていないといけなかったのに!!
遅刻ですよ!!
阿久津様をお待たせしてしまうわ」
彼女はイライラした様子でエレベーターのボタンをカチカチと押している。
「ねえ…阿美子ちゃん。
今は尾上社長が下に降りているからそんなに何回押してもエレベーターは上がって来ないよ。
……別に遅れてもいいじゃん。
向こうが株の引き取りを頼んで来るんでしょ。
行くのをやめてもいいし」