愛を教えて
彼らとは逆に、万里子は弾んだ声を出した。


「まあ! 静香さんにも結婚の予定がおありなんですか?」


卓巳の言葉を素直に受け取り、お祝いでも言わんばかりだ。


静香は万里子をキッと睨みつけ、


「ないわっ!」


と短く叫んだ。
彼女はそのまま卓巳のほうを向き直り、


「卓巳さん! 母たちがリビングでお待ちかねよ!」

「それはそれは。叔母上たちにはお手柔らかに願いたいものだな。――祖母は?」


卓巳の問いかけは浮島に向けたものだ。


「お部屋でございます。昼食の用意ができましたら、ご挨拶はそのときに、と」

「皐月様は、あなたに会いたくないみたいね。なぜかしら?」


浮島の言葉を奪うように、静香は意味深に話す。


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