愛を教えて
「すぐにばれる嘘をつくからだろ? 俺はあの女に、早くこの家に入って欲しいけどな。チャンスが増える」

「ふーん。性懲りもなく、まだ狙ってるんだ」


太一郎は邸の外で万里子に接近しようとした。
しかし、卓巳が手配したのか、万里子自身も気づいていないような位置に、ボディガードが立っていて、太一郎は近寄れなかったという。


「いいわよ。力になってあげる。あの女、メチャクチャにしてやってよ」

「女はこえーな」


あずさは煙草を消すと、自分から太一郎に絡みつく。


「そうよ。女は化けるし、祟るのよ。よぉく覚えておくのね」


ふたりの結婚を邪魔しようと、卓巳の寝室の様子を尚子に密告したのはあずさだ。
思ったとおり、尚子は皐月に言いつけた。
倫理や道徳に厳しいはずの皐月なら、と思ったが……孫は別らしい。


万里子は一流ホテルでの挙式披露宴を断り、外出を制限されている皐月のために、藤原邸の裏庭でのガーデンウエディングを提案した。

その準備にこの二週間ほど、藤原邸は大忙しだ。  


(結婚は阻止できなかったけど、離婚に追いやってやる!)


それは、あずさだけの思いではなかった。


< 255 / 927 >

この作品をシェア

pagetop