愛を教えて
――キスを断ったから? 嫌われたのかもしれない。


悪い夢を見たのも、そんなことを考え続けたせいだった。

それを卓巳に告げると、彼は身を乗り出し、万里子を抱き締めた。


「そんな訳がないだろう? だが、昨夜は少々楽しみ過ぎた。眠ったのが夜明け前だ」

「それは卓巳さんが……ずっと私の身体を」

「ああ、そうだ。全部僕が悪い。どうやって責任をとればいい?」


ふざけた口調で卓巳は腕の中の万里子に問いかける。


「もうっ! シャワーはどうするんですか? お迎えが来ちゃいますよ!」


万里子の抗議に卓巳は苦笑しつつ、耳元で声を潜めて言った。


「それに……こんな形で下着を汚したのは中学生以来だな。君の身体に感じ過ぎたみたいだ」


そのとんでもない報告に、万里子は赤面するしかない。

どちらにしても、ご機嫌の卓巳だった。


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