愛を教えて
(私は人妻なのよ。夫の下着を洗うのは当然のことだわ。別に、いけないことをしてる訳じゃないんだから)


万里子は洗面台で卓巳の下着を洗った。

洗いながら、心の中で卓巳を初めて“夫”と呼び、その勢いで昨夜の“夫婦生活”を思い出してしまう。

それは恥ずかしくもあるが、やはり嬉しい。


万里子がニコニコしながら顔を上げた瞬間、鏡に映った自分の胸元が目に入った。


「もう、卓巳さんたら」


呟きと笑みが零れ落ち、万里子はハタと気づいた。

卓巳は病院に行けと言っていた。もちろん、万里子もそのつもりだった。

しかし、肘はともかく、首筋を見せずに肩口の診察なんて、どうすればいいのだろう。


卓巳の付けた“妻の証”を見つめつつ、途方にくれる万里子であった。


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