ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「よし、急いで神殿に行こう!」


リタ達はジオの部屋を出て、その足で地下神殿に行こうとした。


その時――


「地下神殿には、行かせない」


どこからか、男性の声がした。


その声の主は、九年前のあの日、砂龍族からリタを引き離したキア一味の魔道師の一人だった。


「お……お前は、火系魔道師フィアロス! まだ生きてたのか?」


「当たり前だ。俺はそう簡単に、死なないさ。それよりもリタ姫、この前は、随分と水系魔道師リゲリオンをやってくれたそうだな。幸いメアリーが連れ戻しに来たが。そのせいで、リゲリオンはキア様から、大目玉をくらったそうだ」


「一体、何の冗談だ? 私達は急いでるんだ。そこを通してくれよ」



「そうはいかないね。これもキア様のご命令だ。悪く思うなよ」



そう言いながらフィアロスは、炎のように真っ赤な剣を構える。



(やれやれ……。彼は本気みたいだね。だけど、城内では戦いにくい。ここは、一度広い場所に出よう)


リタは、武器を構えた。


と同時に、自分が考えた作戦をナンシーだけに説明することを思いついた。


「ナンシー、ちょっと耳を貸してくれ」


「な、何よ? こんな時に」


「良いから、早く!」


「わ、わかったわよ。急かさないでよ!」


ナンシーは眉間に皺を寄せながら、リタに耳を傾ける。


『良いか? ここは城内だ。フィアロスの属性を考えたら、ここじゃ戦いにくい。父上やジオや兵士達と一緒に、城の外に出よう。その方が、周りを気にせず戦えるはずさ』


『なるほど。それは良いわね。ところで、一つ気になったんだけど、なんでヨゼフには言わないの?』


『だって、あの子は口が軽いからさ』


リタはナンシーに聞かれて、顔を真っ赤にした。


というのは、“ヨゼフに言うと、絶対にばれてしまう。彼は奴隷部屋にいた時もあれほど内緒だって言ったことを、一分も経たないうちにみんなに知らせてしまうんだから。誰かが訪ねたからだろうけど”と思ったからだ。


改築された(といっても、改築されたのは謁見の間及びその部屋の壁、王の部屋やリタの部屋、ジオの部屋だけだが)砂龍城から十メートル離れた場所で、三人はフィアロスに立ち向かう。
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