ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「俺の名はアルエス。


千五百年後の今日、この時を、俺は待っていた。


デュラックよ、今こそお前達に復讐する時だ!」


そう言ってアルエスは、鋭い牙を剥き出しにして、黒い大顎でリタ達に噛みつこうとした。


「まずい。あいつはやけになってる。


アルエスを止めるには、巨大変身しかない」


リタは右腕の爪を外し、他九人に巨大変身を呼びかけた。


彼女は自分自身の力を制御するために、尻尾に巻いていた青いリボンをほどき、わざと力を暴走させた。


他九人も同じようにして、力を暴走させる。


その力は、凄まじい物だった。


十人の力は、彼女達を別の姿へと変えていく。


猛獣のように牙を剥き出しにして、十人は一斉に、闇龍に噛みついた。


痛みを堪えきれずに悲鳴のような雄叫びを上げたが、アルエスはもちこたえた。


「俺は……俺は負けん。


千五百年前のようにはいかん!」


アルエスは意地を張り、更に闇の力を強めていく。


十人の龍戦士はその重圧に耐えられず、そのまま吹き飛ばされてしまった。


後に残ったのは、倒れたキア領主とその子供達、そして城中の魔道族の姿だけだった。
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