ガルドラ龍神伝―闇龍編―
神殿長に言われた通り、ナンシーは赤色の水晶玉に触れてみた。


「暖かい。ねぇ、リタ、ヨゼフ。ちょっとこの水晶玉に触ってみてよ」


ナンシーに催促され、二人は水晶玉に手を置く。


その瞬間、二人の掌が暖かくなった。


(確かに、心地良い暖かさだ。まるで、本当に火龍神バイルの神聖な力のようだ)


三人が不思議な力に触れていると、突然神殿長の頭上から大きな笑い声が聞こえた。


「その声は、火系魔道師フィアロスだね。


隠れるために、祭壇周辺を暗くするなんて、図々しいにも程があるよ。


お前達の企みは何だい?」


リタの声に反応するように、火系魔道師は水晶玉の近くに着地する。


「企み? 俺達は、ただキア様のお決めに従ってるだけさ」


「キアの決定? どういうことだ?」


「俺とメアリー姫は急遽手分けして、お前達をまた捕まえることになった。

領国で、お前達を処刑するためにな」


フィアロスがそう発言した時、リタを始め、他の二人も目を丸くした。


「どうして、私達を処刑する?


闇の大蜘蛛を倒した奴隷は即釈放すると言ったのは、魔道族の側だろう?」


リタは、フィアロスの意表を突く。


が、彼は落ち着いて、もう一度口を開く。


「確かに。


だが、俺に反論されても困る。


全ては、キア様が決められたこと。


あのお方は、九年前からお前達を調べたがってた」


「じゃあ、私達を奴隷から外したのは?」


途中から、ナンシーが口を挟んだ。


火系魔道師フィアロスの話は続く。


「お前達を泳がせておけば、何か手がかりが掴める。


そう感じたメアリー姫は自分の誕生日に≪闇の大蜘蛛バウト≫を開き、お前達をわざと勝たせた。


水龍神アークレイの神殿の神域で、ヨゼフが戦士として覚醒した時点で気づいた点がある。


それは、そこの砂龍王女と水龍族の少年が、二柱の龍神達の生まれ変わりだということだ」


「つまり、残り八柱の龍神達の来世を覚醒するために私達が行動してると、キア領主の計画の邪魔になる。


そうなると困るから、私達を処刑したいと……」
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