ガルドラ龍神伝―闇龍編―
そして葉龍族の魔族達にとって、待ちに待った、祝杯開催当日の夜。


一族の男性や女性が軽やかな身のこなしで踊り、子供達が合唱しているのを、四人は見ていた。


その子供達の中には、プレシオとクレルもいる。


「みんな、物凄く体が柔らかいね。僕も、あんな風に踊れたらな……」


「そうかな? ヨゼフも、結構体が柔らかいと思うけど」


ヒアは、奴隷生活を送っていた時のヨゼフの戦闘ぶりを思い出しながら、言った。


ふとヨゼフは、先程リタに言われたことを思い出し、話を切り出す。


「みんな、ちょっと良いかな? 話したいことがあるんだけど……」


もしかして、さっき私が言ったことについて話すつもりなのか、と想像しながらリタは首を縦に振る。


「あのミントっていう女の子のことなんだけど……。


実は九年前に僕を水龍族から引き離し、家族を殺害したのは、あの子なんだ。


その当時の彼女は、まだ三つだったから、想像できないだろうけどね」


ヨゼフは簡単に話を終わらせた。


先程の彼の話を聴き、リタは思った。


(ヨゼフとあの子の間に、そんな過去があったんだ。


まだお互いに幼い年齢――特にミントは彼より一つ年下だっていうのに。


やっぱり、火龍神バイルが言ってたことは、本当みたいだ。


でなければ、当時三歳だった女の子を、いとも簡単に操ることはできないはずさ)


リタはいつの間にか、深刻な表情をしていた。


「どうした、リタ? 折角のパーティだ。もっと楽しもうよ」


「ヒアの言う通りよ。もっと肩の力を抜かなきゃ、この先、かなり厳しくなるわよ」


ナンシー達に励まされ、リタは少し落ち着いた。


そこへ、唐突にヒアが話を切り出す。


「これは神殿から村に戻る直前から決めてたことなんだけど、俺はこの村に残る」
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