双子ですけどなにか?【修正終わりました】
【彩花】嘘だと言って


いよいよ文化祭当日。


準備は大変だったけど、何とかここまでこぎ着けた。


学校中がお祭り騒ぎで、いつもと世界が違うように見える。


晴人は、怪我をしたこめかみの辺りに包帯をしたまま、ミスコンの時間になったら呼べと、どこかにサボりに行った。


先日の喧嘩の事は、里美先輩が先生に説明してくれたおかげで、両方とも厳重注意という事でおさまった。


「武内さん!こっちの教室、お願い!」

「はい!」


朝から生徒会は大忙しだ。


許可を出してない催しや、ゲリラライブみたいな事を取り締まったり、来賓をもてなしたり、看板や掲示物に違反がないかチェックしたり……とにかく仕事がたくさんあった。


「あぁ、疲れた……」


お昼になって、やっと一息つく。


校庭に出ているテントで、模擬店で買ったたこ焼きを食べていたところに、意外な人が現れた。


「ちーす。彩花ちゃん、一人?」


三井先輩だ。その手から缶ジュースが差し出された。


「わぁ、ありがとうございます」


喉が乾いていた私は、喜んでそれを受け取る。


三井先輩は私の反応に、満足そうな笑顔を見せた。


その脇を、ヒソヒソと眉をひそめながら話す女の子達が、通りすぎていく。

< 203 / 429 >

この作品をシェア

pagetop