双子ですけどなにか?【修正終わりました】


晴人はそう言うと、里美先輩の手を引き、その大きな荷物を片手で軽々と持って、のしのしと、歩いていってしまった。

その背中を見送っていると、複雑な顔でこちらを見ている三井先輩が見えた。

しかし彼は、何も言わずに去っていく。


「……つらい事でも、あった……?」


人がほとんどいなくなった時、健先輩が私にたずねた。

涙が次から次に溢れてきて、もう、何もなかったとは言えなかった。


「……私、信じてもらえないの……」

「うん……?」

「健先輩と三井先輩と二股かけてるって言われたの……私が好きなのは、健先輩だけなのに……」


必死で口を開くと、途中で、健先輩が私を抱きしめてくれた。

その温かさに、胸の傷が癒されるのを感じる。

涙はしばらく止まらなかった。

健先輩は、うなずきながら、私の長い話を聞いてくれた。

全部話しても、健先輩は腕をゆるめなかった。

代わりに、誰もいない運動場で。


「……つらかったね」


そう言って、私の頭をなで続けてくれた。

空からは、たくさんの星が、私達を見守っていた。

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