双子ですけどなにか?【修正終わりました】
【晴人】屋根になった日


返事しろっつったって……。


彩花に渡された手紙を、どうしたものかとながめた。


迷惑なわけじゃない。ただ、どうしていいかわからないんだ。


どうしたら、全く知らない人間にこんな事をしようと思えるんだろう。


一体俺のどこを気に入ったのか、見当もつかない。


顔が立たない、か……。しょうがねぇ。


俺はスマホをとり出し、アプリを開く。


IDを検索しようとして、そこで止まってしまった。


友達登録したとして、そっからどうすりゃいいんだよ……。


わからん。見当もつかない。


俺は一旦、スマホを置いた。


そして、新川先輩のヘアピンを見た。


先ほどの彩花の悪ふざけを思い出す。


『キスしていいか?』


きす……。


「アホか!!」


桃色の妄想をする前に、ヘアピンを手紙と一緒に引き出しに放った。


なんで俺は、こんなにバカなんだろう。


彩花も、彩花だ。メガネに彼女がいるかくらい、最初に聞いておけよな。


……って、俺も新川先輩に聞いてないけど。


メガネに近づく為に、生徒会に入るような、行動力。


向こう見ずとも言うけれど……俺は彩花のそんなところが、少しうらやましかった。


だけどもし、新川先輩もメガネの事が好きだったなら、俺はどちらを応援するんだろう?


そんな事をぼんやり考えるうち、夜は更けていった。


< 93 / 429 >

この作品をシェア

pagetop