不良狼の一途な溺愛

「言おうとしてたこと、それ?」


「う、うん…。」


冷や汗が背中をつたう。


もしや怪しんでるのでは…と内心焦っていると、蓮君は私に近付けていた顔を少し離した。


「最近は…全くしてねぇ。」


ポツリと呟くように蓮君が答える。


どうやら、怪しんでいたわけではなさそうだ。


「っていうか、もともとケンカとか…そんなにしないし。」


「えっ、そうなの!?」


蓮君ほどの不良だったら、こなしたケンカの数は相当多い気がしてたのに…。


とても意外でビックリしてしまった。


「無駄な体力は消耗したくないからな。無意味なケンカは面倒なだけだから、やらねぇんだよ。」


「………。」


そんな風に言えるのは、最強の不良だからこそなんだろうか…。


苦笑いを浮かべていると、蓮君はフッと笑った。



< 252 / 364 >

この作品をシェア

pagetop