不良狼の一途な溺愛
「言おうとしてたこと、それ?」
「う、うん…。」
冷や汗が背中をつたう。
もしや怪しんでるのでは…と内心焦っていると、蓮君は私に近付けていた顔を少し離した。
「最近は…全くしてねぇ。」
ポツリと呟くように蓮君が答える。
どうやら、怪しんでいたわけではなさそうだ。
「っていうか、もともとケンカとか…そんなにしないし。」
「えっ、そうなの!?」
蓮君ほどの不良だったら、こなしたケンカの数は相当多い気がしてたのに…。
とても意外でビックリしてしまった。
「無駄な体力は消耗したくないからな。無意味なケンカは面倒なだけだから、やらねぇんだよ。」
「………。」
そんな風に言えるのは、最強の不良だからこそなんだろうか…。
苦笑いを浮かべていると、蓮君はフッと笑った。