不良狼の一途な溺愛
「蓮ってさ、普段はクールで、愛想も決していいとは言えない。でも…優しくて仲間思いのヤツなんだよ。」
そう言うと、陸都君は、突然…右側のワイシャツの袖を捲った。
「あっ…」
私の口から思わず声が零れる。
なぜなら、陸都君の肘には、何針も縫ったような大きな傷痕が残っていたからだ。
「中学の頃、質の悪い先輩たちに、適当な因縁つけられて…やられた時の傷。俺一人に相手は5人ぐらいだったかな。さすがに参ったよ、あの時は。学校で騒ぎが大きくなるのも嫌だからケガしたこととか、隠してた…。」
陸都君は苦笑いを浮かべながら話しているけど、これだけの傷を負ったんだもん…。
精神的に、相当…辛かったはずだ…。
唇を噛みしめていると、陸都君は柔らかい笑みを見せた。
「でも、蓮には直ぐにバレた。普段どおりにしていたつもりだったけど、俺の様子がおかしいことに、あっさり気付いたらしい。」
陸都君は傷痕を見つめた。