不良狼の一途な溺愛

「蓮ってさ、普段はクールで、愛想も決していいとは言えない。でも…優しくて仲間思いのヤツなんだよ。」


そう言うと、陸都君は、突然…右側のワイシャツの袖を捲った。


「あっ…」


私の口から思わず声が零れる。


なぜなら、陸都君の肘には、何針も縫ったような大きな傷痕が残っていたからだ。


「中学の頃、質の悪い先輩たちに、適当な因縁つけられて…やられた時の傷。俺一人に相手は5人ぐらいだったかな。さすがに参ったよ、あの時は。学校で騒ぎが大きくなるのも嫌だからケガしたこととか、隠してた…。」


陸都君は苦笑いを浮かべながら話しているけど、これだけの傷を負ったんだもん…。


精神的に、相当…辛かったはずだ…。


唇を噛みしめていると、陸都君は柔らかい笑みを見せた。


「でも、蓮には直ぐにバレた。普段どおりにしていたつもりだったけど、俺の様子がおかしいことに、あっさり気付いたらしい。」


陸都君は傷痕を見つめた。


< 281 / 364 >

この作品をシェア

pagetop