不良狼の一途な溺愛

「あっ、御苅さんに蓮の家の場所…教えなくちゃね。ちょうど紙があるから今書くよ。」


そう言って、比嘉原君はポケットから小さなノートを取り出すと、サラサラと地図を書き始める。


数分で完成させた後、ノートから用紙を丁寧に破いて私の手にのせてくれた。


「蓮の家、すぐ傍に小さな公園があるから、多分…分かりやすいと思うよ。御苅さんの家からだと、だいたい歩いて20分ぐらいかな。」


「ありがとう…。」


お礼を言って、地図をジッと見つめた。


短時間で書いたのに、目安になるような建物はキッチリと押さえてある。


小さいながらも、とても分かりやすい地図だ。


「俺たちが案内も兼ねて、一緒に行けばいいと思うんだけど、それだと蓮が機嫌悪くなりそうだから止めておくね。」


そ、そんなことは無いと思うけど…。


比嘉原君の言葉に苦笑いしながら、地図を大事に制服のポケットにしまい込んだ。


早速、明日…蓮君の家に行ってみよう…。



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