不良狼の一途な溺愛

「えっ…」


今度は男の子たちに呼び止められ、私は足をピタッと止める。


振り向くと、二人とも気まずそうな表情を浮かべていた。


「あのさ、さっき…紫堂を探してるって言ってたけど、探しに行くのは…やめておいた方がいいと思うよ。」


「ど、どうしてですか?」


間髪入れずに訊ねると、男の子たちは言いにくそうに口を開いた。


「実は、紫堂のヤツ……黒賀(クロガ)たちと一緒だったんだよね…。」


「く、黒賀…?」


誰…?


聞いたことのない名前に、思わず首を傾げてしまった。


「えっと、黒賀 龍矢(クロガ リュウヤ)。紫堂ほどの強さじゃないけど、質が悪いことで有名な不良。この近くに古びた倉庫があるんだけど、そこが奴らの溜まり場になってるらしいんだ。」


「多分、アイツら…その倉庫に行ったんじゃないかな。今にも喧嘩しそうなぐらい険悪なムードだったし、行くのはマジで危険だと思う。」


黒賀って人、不良なのか……。


二人の話を聞く限り、確かに私一人で乗り込むのは危険な気がする…。


でも……



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