不良狼の一途な溺愛
「いや、別にいいって。本当に大丈夫だし。」
「ちょっとした傷でも、そのままにしておくのはダメだよ…!消毒して絆創膏…貼らなくちゃ!」
私が強く主張すると、蓮君は“分かったよ”と言って微笑む。
そして、隣の部屋から救急箱を持ってきてくれた。
「擦りむいてるから染みると思うけど…ちょっと我慢してね。」
「ああ。」
蓮君の手の甲にある傷口部分を消毒していく。
絆創膏を貼り終えると、蓮君が嬉しそうに目を細めて笑った。
「そういえば、柚と初めて会った時も、絆創膏…貼ってもらったよな、俺。」
「うん…。」
マンガ本を返そうとしたら、手のひらにすり傷があってビックリしたんだよね…。
「柚、俺と初対面でビビってたのに、ケガは放っておかなかったよな。」
「そ、そりゃそうだよ。見てみぬフリなんか出来ないもん…。」
そう言うと、蓮君は私をゆっくりと抱き寄せた。