不良狼の一途な溺愛
「ひょっとして、この棟に入るの…?」
「ああ。」
紫堂君からは、当たり前だ…と言わんばかりの表情で即答されてしまった。
「だ、ダメだよっ!立入禁止って書いてあるのに!!」
さすがに私も黙っていられない。
貼り紙を指差しながら主張をした。
「そんな貼り紙、どうってことねぇよ。毎日のように、ここに入ってるし。」
「えぇっ!?」
サラリとスゴい発言をする紫堂君に、私は瞬きを繰り返した。
私だったら、この貼り紙を見れば絶対に入ったりしないのに…。
堂々と入っているなんて、さすが不良…。
冷ややかに関心していると、紫堂君は少し錆びた扉を開けて中に入った。