碧いボール

碧いボール・・・落胆

生意気に、あたしからも条件なんて出しちゃったけど、あたし、ほんとは何も知らないんだ。
「碧いボール」が何なのかも、イマイチよくわかってない。
ただひとつわかるのは、死ぬほど努力しないとだめってこと。
それは、杏の話し方とか、場の雰囲気からさとった。
まずは・・・「碧いボール」の何たるかを調べなくては。
バスケのことを聞くには、ほんとは顧問が一番いいんだろうけど・・・うちの場合はだめ。
芦田なんて全く頼りになんないし、男子の顧問はなぜか女子を嫌うし。
男子は県大会レベルなのに、女子が弱いからかな?
ということで、調べる手段はPC!
あたしはオンラインゲームが大好きだから、タイピングは早いほうなんだよね♪
だから、何も考えずにキーボードを打っているときと、バスケしているときが一番落ち着く。
なんて・・・どうでもいいか。
学校のPCは使えないので、家・・・ではお父さんが仕事で使ってるかな。
しょうがない、図書館でも行きますか。
こんな不幸を知らされたときこそ、二重に不幸が降りかかったりするのかな・・・なんて考えていたけど、図書館へは無事到着。
さっそくインターネットを起動すると、「碧いボール」と調べてみる。
結果は・・・何も出てこない。
その単語だけじゃだめなのかな??
次に「バスケ」「碧いボール」と入れる。
・・・出てこない。
なんだよ!と、パソコンに八つ当たりしていると・・・あった!
一番下に、「碧いボールの伝説」
これじゃん。
そのページを開いてみると、中に書いていたのはとんでもないことで。
あたしは一人、図書館で泣いていた。
こんなの無理じゃん。
努力なんてもんじゃない。
「あたしだから大丈夫」だなんて思っていたあたしがばかだった。
はぁ・・・。
あたし、なんてこと約束しちゃったんだろ。
どんなに頑張ったって今のあたしたちじゃ無理だよ・・・。
そう考えて、一度止まった涙が再び溢れ出す。
今さらそんなの遅いのに、やっぱり考えずにはいられなくて。
あたし、こんなことも知らなかったんだ。
バスケやってる人として・・・バスケ部のキャプテンとして。
あたし、失格だよなぁ。
なんてことを本気で考えてたら・・・前から「有希!」って声がした。
「へ?」
あたしが振り返るとそこにいたのは・・・白亜。
家が隣のかわいい後輩の男子。
あたしが密かに・・・想いを寄せている人。
泣き腫らした目をしているあたしを、心配した目でみつめる白亜。
その視線に負けたあたしは、白亜に全て話すことにした。

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