碧いボール

『条件』

後任のキャプテンは誰なんだろう。杏はやめるから、1年生かな。
1年のキャプテンなんて、聞いたこと無いよ・・・。
なんて想像して、少しだけ笑みがこぼれる。
あたしのことなのにさ・・・。
杏が一人で笑うあたしを見て、気味悪そうにする。
そして、全く発言しなかった他の部員と共に、教室を出て行こうとした。でも、あたしが止めた。
杏たちとの「賭け」をするために。
あたしは杏の性格をほとんど知ってるつもりだ。
だから・・・あたしが少し引けば、きっと何か「賭け」を考えてくる。
それは、杏たちが退部しないことに対しての、条件で・・・。
「ねえ、杏。あたしもさ、一応キャプテンなんだから、そう簡単には認めないし、あたしには引き止める権利がある」
・・・・・・沈黙。
「だからさ、杏。あたしに何か試練ちょうだい。あたしも悪いキャプテンだったからさ・・・そのくらいはしないと、杏たちに申し訳がたたないから」
「・・・なら、認めてよ」
「それはできない。あたしの意思だけじゃ、色んな人に迷惑かかるから」
「意味わかんないよ・・・」
「だからさ・・・お願い!試練下して!それで成功したらあたしの勝ちで、杏たちは退部できない。反対に・・・」
「有希が成功できなかったら、あたしたちは退部する」
「そういうこと・・・どう?」
杏は他の部員と顔を合わせて・・・頷いた。
やった!!
「じゃあ、試練考えてきて。明日教えてね」
「待って・・・今考えた。あと、試練じゃなくて『条件』だからね」
あたしは息を呑んだ。
杏の次の言葉を待つ。
杏は言った。
あたしに対する「挑戦」を。あたしの運命を、杏が口にした。

「碧いボール、見つけてよ」

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