ケイヤク結婚
―綾乃side―
『落ちついたら連絡する』と言われたけれど、それはいつのことになるんだろう?

 私から連絡してもいいものだろうか?

 昨日のうちに連絡がくるとてっきり思いこんでいたから、ショックが大きい。

 私はベッドの中に潜ったまま、手探りで携帯を探しあてると、着信履歴とメールの受信状況を確かめた。

 やっぱり、何の音沙汰もない。

 本当に結婚したのか……な? 全く現実味がないよ。

 結婚ってもっと華やかで煌びやかで、世界の全てがピンク色に見えちゃうような生活かと思っていた。

 けど、私はそういう結婚とは程遠いところにいるみたい。

 夫となった人がどんな人かもわからないし。ただ格好良いってことだけは、この目で見ているから間違いないけど。

 私は肩まである髪をかけあげると、枕に頭を預ける。

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