君のための嘘
シャワーを浴びている間もラルフの言葉が頭から離れない。


ラルフに惹かれているからこそ、よく考えないといけない。


バスタオルを巻いたままの姿で、部屋に戻るとドレッサーの前のイスに座り込む。


どうすればいいのだろう……。


その時、あの家族の女の子の顔が思い出した。


子供を悲しませちゃいけない……。


夏帆は記憶にないほど小さい頃から、孤児院で養われていた。


母は病気になり、どうしても育てられなくなったのだ。


その後、母は頭の病気で亡くなったと、小学校に入ると院長先生に聞かされた。


10歳になるまで夏帆は孤独で、寂しかった。


孤児院で働いている人たちは優しかったが、父母に成り代われるほどではなかった。


運よくお金持ちの家庭に貰われたけれど、結局はお金や地位の為に夏帆が犠牲になった。



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