君のための嘘
残された夏帆の口から小さなため息が漏れた。


毎日外食するのは大変だけれど、まさか家政婦さんを雇うなんて思いもよらなかった……。


キッチンから丸見えのリビングルームにいるのも嫌で、夏帆は部屋に戻った。


部屋に戻ると窓辺に近づく。


外はすでに暗くなり、キラキラ光る夜景が見える。


窓ガラスに額をつけると、ひんやりとした冷たい感触が気持ち良く感じる。


ラルフが戻って来てから、熱を発した様に身体が熱い。


彼の姿を見ただけで、ドキドキ胸を高鳴らせてしまう。


私……ラルフが好きなんだ。


でもラルフは美由紀さんと別れる為に、私と結婚しても良いと思っている。


2年間……2年間で離婚……。


2年経って、私はラルフと別れることが出来る?


今晩、返事をするってラルフに言っちゃったんだよね……。


考えれば考えるほど、深いため息を吐いてしまう夏帆だった。


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