君のための嘘
「お……帰りなさい……」


夏帆の視線がラルフの後ろの人物に向いているのを見ているのがわかって「食事を作ってくれる家政婦さんだよ」と教えてくれた。


食事を作ってくれる人……。


片手にスーパーのビニール袋を持ったラルフは、夏帆にお辞儀した家政婦さんをキッチンへ案内している。


一通りキッチンの中を説明したラルフは夏帆の所へ戻って来た。


「家政婦さん……」


「あぁ これで夕食を悩む必要はないからね 土日以外はこの時間から作りに来てくれる 僕は夕食まで書斎にいるから」


ラルフは夏帆に言うと、書斎へ向かう。


「あ!」


途中で足を止めて、ラルフは振り返る。


「手伝わなくても大丈夫だからね」


それだけ言うと、ラルフは書斎へ入って行った。


< 112 / 521 >

この作品をシェア

pagetop