君のための嘘
そうじゃなくて……。


夏帆はそう言いたい代わりに小さくため息を吐いた。


ラルフは夏帆の言いたい事はわかっていた。


離婚をするのになぜ写真を撮ろうとするのか、それが疑問なのだろう。


しかし、僕たちには必要なんだ。


この写真を見せたい人がいるから……。


「原石っ!ラルフたん、用意はいいかしら?」


リリが始めるわよと声をかけた。


夏帆は小さく頷くと、アシスタントカメラマンの指示でイスに腰掛けた。


隣で優しく微笑みを浮かべながらカメラを見るラルフはこのままモデルの世界にすんなり溶け込めそうなほど素敵だ。


リリさんのラルフを見つめる目がハートになっている。


カメラマンさんも非の打ちどころがないラルフにはポーズの指示を出すだけ。


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