君のための嘘
そんなラルフとは反対に、笑顔や、指先、顔の向きなどなど、私は言われてしまう。


そんな事を言われてもガチガチに強張った顔はなかなかほぐれてくれない。


いろいろな思いが心の中で渦巻いて、うまく笑えないのだ。


隣に立っている人が霧生 貴仁さんだったら、私はどんな顔をしていただろうか……。


……。


ラルフのおかげで、彼と結婚しなくて済むのだから写真を撮ることぐらいなんてことない。


撮られるからにはきれいに見せたい。


シャッター音が響く中、夏帆はしだいに吹っ切れてきた。


ラルフが私を助けてくれる代わりに、私もラルフを助けるんだ。


夏帆は大きく呼吸をすると、笑みを浮かべた。


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