君のための嘘
シャワーをゆっくり浴びると、しだいに二日酔いが良くなってきた。


バスタオルを巻いた姿で洗面台の鏡を見ると、自分の顔に違和感を覚えた。


いつもの私じゃないみたい。


眉毛がきれいに整えられているせいかな……。


重そうだったストレートの黒髪の全体的の長さは変わらないものの、ふんわり軽い印象になっている。


ニューハーフの美容家さんは腕がいいんだ……。


******


白い綿素材のシャツワンピースを着て部屋を出ると、キッチンにいるラルフと目が合った。


「おはよう 夏帆ちゃん もっと遅くまで寝ているかと思ったよ 二日酔いは大丈夫?」


「昨日は酔いつぶれちゃってごめんなさい」


「仕方ないよ リリさんに勧められたらなかなか断れないからね お味噌汁が出来ているよ 二日酔いに効くはずだ」


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