君のための嘘
ラルフ……。


夏帆は心細かった。


どうしよう……きっとラルフも探してくれているはず……動かないで待っていた方がいい?


「夏帆ちゃん!」


突然ラルフが目の前に現れた。


「ラルフっ!」


夏帆は無意識にラルフの身体に腕を回した。


ラルフの顔を見たら安堵して人前にもかかわらず抱きついていたのだ。


「夏帆ちゃん、ごめん 驚いただろう?」


「怖かった……」


実母に捨てられた記憶はないが、孤児院で過ごした寂しい気持ちが押し寄せていたのだ。


捨てられた……それは夏帆の心の奥底で恐れている言葉だった。


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