君のための嘘

「それ……」


見覚えのある茶色の革のバッグ。


「バッグが見つかったと連絡があってね　お財布は無かったが、パスポートと書類はあったよ　金目当ての犯行だったようだ」　


「ラルフ！ありがとう！嬉しい」


ラルフからバッグを受け取ると、中を開けて入っている物を確認した。


「幸いなことにパスポートも書類もあるから籍がすぐに入れられる」


「あ……」


そうだった……この書類があれば籍が入れられる……。


「手続きをしようと思うんだ　いいね？」


ラルフに同意するしかない。


彼と結婚すると決めたのだから。


「……はい……どこで見つかったんですか？」


「どうやら僕たちが出会った場所からそれほど離れていない所の建物の隅に捨てられていたらしい」