君のための嘘
「部屋が余っていますし、カギもかかります 貴方を襲うようなことは決してありませんから安心して下さい」


断言するラルフに、夏帆は襲われたいなどとは思っていないが落胆した。


もちろん、私なんか襲うほど、魅力があるわけじゃないけれど……。とにかく数日間だけでも、住むところが出来るのは天の恵み。


ゆっくり考えなければ……。


「どうですか?」


「……はい、あの、よろしくお願いします」


夏帆は彼の膝に頭が付いてしまうくらい頭を下げた。


そんな夏帆を見てラルフは額にかかる髪をかき上げて微笑んだ。


しばらくすると、夏帆はやっと窓の外の景色が見られるくらい落ち着いてきた。


ラルフを見ると横目で見ると、腕を組んで目を閉じていた。


その姿も絵のようで、夏帆の顔は惚けそうになる。


そのうちに夏帆も睡魔がやってきた。


メガネを外し、窓の方に頭を寄せて目を閉じた。


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