君のための嘘

違和感

ベッドルームのドアが開いて、ラルフは顔を上げて見た。


「侑弥か……驚かせないでくれ……」


ドアを見た顔はごく普通の表情だったが、入って来たのが侑弥だと知ると大きく息を吐いて顔を歪めた。


「大丈夫か?」


侑弥が心配そうにラルフを見ている。


「……ああ、すぐに落ち着く……」


ラルフはベッドに座り俯いたままだ。


「……変わったな。この部屋、本当に新婚さんの部屋みたいだ」


侑弥が結婚式の写真を見て言う。


「夏帆ちゃん、可愛いだろう?」


「まあな、俺の奥さんほどじゃないが」


侑弥は表情を緩ませている。


「……もう治まったよ。すぐに行くから先に行っていてくれないか」


ラルフは侑弥に部屋を出るように促した。


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