君のための嘘
「どうしたんですか?」


先を行くラルフは付いてこない夏帆に気づき立ち止まり振り返る。


「あの、ここは……?ホテルみたいですけど……」


「僕はここの3001号室住んでいるんです ホテルではなく普通のマンションですよ」


私はまだ築年数がさほど経っていないようなモダンなマンションを見上げた。


まるでホテルのようだと夏帆は思った。


おしゃれな外観のマンションは超高層マンションらしい。


エントランスを通り、ロビーに入ると受付のような場所に人が立っていた。


ホテルみたい……。


「ちょっと待っていてください」


夏帆をその場に待たせて、中央の丸いカウンターへ行ってしまった。


夏帆は見ていると、白髪まじりでぱりっとしたスーツを着た初老の男性が、腰を90度に曲げてラルフに挨拶している。


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