君のための嘘
こんなマンションに住めるって……この人、何者……?


もしかして……芸能人?モデル?


この容姿ならぴったりの職業だけど……。


話し終えたラルフが、考える夏帆の元へ戻ってきた。


「待たせてすみません 行きましょう スーツケースはそのままに あとで持ってきてくれますから」


スーツケースから手を離したが、複雑な気持ちだった。


もしも……このスーツケースが無くなってしまったら本当の無一文になってしまう。


メガネが落ちないように手を添えているものの、スーツケースを離すと、手持無沙汰で不安が広がる。


夏帆の考えがわからないラルフは歩き始めた。


不安を振り切るように頭を横に振り、エレベーターホールに向かう彼を追った。


< 22 / 521 >

この作品をシェア

pagetop