君のための嘘
「今日は和食か、美味しそうだね」


野菜がたっぷり入った味噌汁をお椀に淹れている夏帆の後ろから覗き込むようにして言う。


「うん、いい匂い。ゴボウかな」


後ろから覗き込まれる様にして立たれて、夏帆の心臓がトクンを鳴った。


やっぱり、聞いたら何かが変わってしまいそうで聞けない。


このままでいたい……。


「ラルフ、ご飯をお願いしていい?」


「OK」


ラルフは夏帆から離れ、しゃもじを手にして炊飯器を開けた。



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