君のための嘘
そしてラルフの気持ち良さそうな声がした。


「気持ちいいね?」


少し離れたななめ後ろからラルフの声が聞こえる。


「う、うん……」


この露天風呂は2メートル四方の四角形の形、広さは十分あるが同じ湯船に浸かっているせいか、夏帆はラルフを近くに感じていた。


「くすっ、緊張している? 夏帆ちゃんから誘ってくれたのに?」


「だ、だって……」


「近くにいってもいい? そうしないと一緒に雪見酒が出来ない」


気遣い、そう聞いてくれるラルフに夏帆のガードが緩まり、しだいに溶けてなくなってしまいそうだ。


「……うん」


返事をすると、夏帆の横に雪見酒のセットが流れてきた。


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