君のための嘘
*******


ラルフの執務室に入ると、豪華な黒革のソファに座るよう勧められる。


「いいです」


「アルバイトのはずじゃないのかい?やっぱり体調が悪いの?」


「忘れちゃったの?ラルフがアルバイト先に連絡して辞めさせたんでしょう!?」


とぼけるラルフに夏帆は苛立ち睨みつける。


「なんのことだい?電話などしていないよ?」


「嘘ばっかり吐くラルフなんて信じられない!店長は男性って言ったんだからっ 明日のロスまでのチケットを予約してっ、どこ経由でもいいから! もう耐えられないっ」


夏帆は言い捨てるように言うと、乱暴に執務室のドアを開けて飛び出した。



< 401 / 521 >

この作品をシェア

pagetop