君のための嘘
セレクトショップは思ったより近く、10分後に車は停車した。


助手席の畑中が素早く降り、祖母側のドアを開ける。


ぼんやりしていると、自分側のドアは運転手に開けられていた。


******


祖母は湯水のようにお金を使い、最高の物を夏帆に買い与えた。


お嬢様として育った夏帆だが、桁違いの買い物。


いくら夏帆がいらないと言っても、20代向けのドレスから下着、アクセサリー、バッグ、靴など、お店の物をすべて買い占める勢いだ。


夏帆はあっけにとられたまま、ベビーピンク色の有名ブランドのスーツを着せられた。


このブランドスーツが家庭を持つ一般会社員の給料の2ヶ月分以上するのも知っている。


スーツを身に着けた夏帆に祖母は満足そうな笑みを浮かべている。


服を楽しそうに選ぶ祖母に同情心を覚えてしまった夏帆だった。


この人は寂しい人なのかもしれない……。


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