君のための嘘
「それは出来ません」


「では軽いのですね?貴方の父君のようにはならないのですね?」


「……いいえ、僕は余命宣告を受けています」


その言葉に祖母は悲鳴をあげて、泡を吹いたようにソファに崩れた。


「おばあ様!」


夏帆は対面に座る祖母に急いで近づく。


そこへ畑中がやって来て、テーブルとソファの間にしゃがみ込むと、小さな瓶の蓋を開けて、祖母の鼻先に近づける。


「うっ……」


その匂いに祖母は目を覚ました。


「大丈夫でございますか?」


畑中が祖母の身体を静かに起こす。


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