君のための嘘
「まだ心臓が暴れています まさか、貴仁さんが……」


「信じたくない気持ちは分かります ですが、事実なんです」


ラルフは淡々と言う。


祖母に話すことが、ラルフにとってどんな辛いのだろうと思うと、夏帆は身が引き裂かれるようだった。


「おそらく……2年は生きられないと医師から言われています」


「そんな……バカな……他の医者には?何かの間違いよ」


「もちろん数人の医者に診てもらっていますよ 結果は同じでした ショックを受けない様に話したかったのですが……いつかは言わなければならないと思っていました 畑中、おばあ様を車に 屋敷で休ませて欲しい」


夏帆は消沈する祖母を見ていた。


信じたくない気持ちは分かる。


私だって信じられなかったのだから……。


ラルフを可愛がっていたおばあ様ならなおさらの事。


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