君のための嘘
実際の所、夏帆も離れたくない気持ちは同じだ。


出来ることならば、ラルフの側にずっと張り付いていたい。


ラルフはデスクに向かい、書類を見始めていた。


夏帆はソファに座ると、おばあ様に知られる原因を作ってしまった本を開いた。






「――ちゃん?夏帆ちゃん?」


一文字一句、漏らさないよう真剣に本を読んでいた夏帆の耳に呼ぶ声が入って来た。


「ラルフ、どうしたの?」


気づくと隣に座っているラルフがいた。


ラルフは苦笑いを浮かべている。


「すごい集中力だね? 何度も呼んだんだよ?」


「え……う、うん 昔から本を読んでいると周りが聞こえなくなっちゃうの」


夏帆は読んでいたページに本屋で貰ったしおりを挟み、パタンと閉じる。


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