君のための嘘
「夏帆ちゃん、良かったね」


ラルフが言葉をかけてくれる。


「……うん 私が拾われた時に一緒に置かれていた物だから……」


開け方がわからず、開けることを諦め、小さな机の上の引き出しにしまっていた。


それが、いつの間にか無くなっていたのだ。


「夏帆ちゃん、健次さんも同じ物を持っていたんだよ」


「えっ?」


ラルフは涙をハンカチで拭ってやりながら言う。


「大事なものとしか教えてもらえず、触らせてもらえなかったんだ たぶん、本家にまだあるかもしれない」


「大事なもの……」


「健次さんは君のお母さんをずっと想っていたんだと思う」


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