君のための嘘
「君はママになるんだよ 僕と君の宝物を立派に育て上げなければいけないんだ 今危険を冒したら、もう僕たちに子供は望めないだろう 強くなるんだ 僕に万が一の事があった場合、君が赤ん坊を育てるんだから」


「ラルフ……いや……ラルフの側に居たいのっ!」


「夏帆ちゃん……僕も一緒に居たい その想いは君より強いよ だけど、明日はダメだよ 君の身体も心配だ」


ラルフは泣きじゃくる夏帆の肩を抱き寄せて静かに言った。


僕にもしもの事があったら、赤ん坊は君の支えになってくれるだろう。


「ラルフ……」


夏帆としてもラルフを困らせたいわけではない。


ラルフの想いを聞いたら、我を通すことが出来なくなった。


< 491 / 521 >

この作品をシェア

pagetop