君のための嘘
「髪の毛が光に透けると金色に見えますね」


看護師は夏帆に赤ちゃんを抱かせた。


「ラルフに似ている……」


夏帆は側で立つラルフを嬉しそうに見上げる。


ラルフは夏帆に抱かれた赤ちゃんを茫然と見つめている。


「なんて小さいんだ……」


もみじのような手に自分の人差し指を掴ませようとする。


「この子は……僕たちに奇跡をくれたんだ……」


ラルフは顔を下げると、見上げている夏帆の額にキスを落とす。


そして夏帆の唇に愛しむような啄むキスをした。


看護師がそっと病室を出て行ったのにも2人は気づかなかった。


< 516 / 521 >

この作品をシェア

pagetop