君のための嘘
「リリさん、夏帆さんは彼女ではないです 預かっている知人の子です」


ラルフの説明は出まかせだけれど、夏帆の胸がチクッと痛んだ。


彼女ではない……そんなの当り前だけど、なんだか胸が痛む。


彼女……どんな人なんだろう……。


「そうよね~、ラルフたんに恋人だなんて、考えたくないわ じゃあ、原石?あたくしが磨いてあげるわ」


げ、原石っ?


夏帆を見て原石と呼ばれ目が点になる。


「け、結構です」


磨かれたくない……それが本当の気持ちだ。


「何がけっこうなのよ、そんなんだから、ラルフたんに恋人じゃないって言われちゃうのよ?」


夏帆はあっけにとられた。


この人、何を言っているの?


私の気持ちを見透かしたような言葉にあっけにとられてしまう。


「ラルフさん……」


ぐいぐい押してくるリリに夏帆は戸惑いラルフに助けを求めるように見た。




< 72 / 521 >

この作品をシェア

pagetop