吸血姫デレキュラ
間に挟まれた老人はニタニタと二人のやり取りを眺めている

「くくく…そのスーツケースよりも小さいお前が悪い」

「ンなんですってぇ?スーツケースよりも小さいですってぇ?……アタシの方が断然…?!…ちょい…大きい……よねっ?」

彼女が岸壁の待ち人達の反応に期待して目をやると全員が申し訳なさそうにツイっと目をそむけた

「うわっ…ヒド…」

「くくく……それと再三だが、私の名前はラードではない…ラドゥ………ラドゥ・ヴラディスラウス・ドラクリア…真のワラキア公である」


「ふん!何が「である」よっ!ワラキアの放蕩のクセしてさっ?モリス財団とメフメトの資金にすがって生きてる厄介者が気取ってるんじゃないわよっ!」

「くはははは!いい気勢だっ!ルーシー・ウェステンラ・モリス!なるほど私はワラキアの放蕩かっ!返す言葉もないなっ?」

「わかっていればいいわ!?ならこの荷物はアナタが持ちなさい?」

「…くくく…よかろう?…私の荷物だ、私が持とうか…」
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