マリア
聖母マリア

二人の天使

 街路樹の続く道を、小さな二人の天使がはしゃぎながら掛け巡る。木々の葉はもうとっくに落ちたのか、道の上にはうっすらと霜が降りていた。朝靄がかった景色で遊ぶその様は、まるで雲の中から出てきた天使の絵のようだ。寒さに関係なく、天使達は元気に走り、可愛らしい声で母の名を呼んだ。
「マリア、はやく!」
「マリア、もうすぐだよ!」
 しばらくすると、朝靄の中から二つの陰が現れる。天使達とは対照的に、ゆっくりとした歩調で近づいてくる。
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