【十の瞳】
 


ファニーが、震える声で訴える。

コロの両肩を掴み、がくがくと揺らす。

コロは、えどがぁとグースが驚いていない様子を見て、二人はもうこの事を知っていたのだとぼんやり察した。


「おい……てめえら、勝手なこと言ってんじゃねえぞ! 


コロが犯人だって証拠があんのかよ!」
 

ファニーに吠えられた十二愛は、レースで縁取られた白いハンカチをそっと差し出した。


その折り畳まれたハンカチを開くと、どす黒く血にまみれたコンタクトレンズが一枚載っていた。


 

それは、コロが初日に失くしたものだった。


「これ、どこにあったの」
 

コロが問う。


「……マスターの部屋の隠し階段の中に……」


「そっか……通りで、探しても見つからなかったわけだ」


コロは、他人事のように呟いた。

ファニーが愕然となり、膝から崩れ落ちる。
 

十二愛は、このコンタクトレンズを見つけた時のことを思い出していた。
 




――話は数時間前に遡る。



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